発達障害が学べるラノベ8│歪な三角(トライアングル)

ラノベ

「フツミヤくん、お願いがあるんだけど!」
放課後、廊下で千優が唐突に言い出した。

「……なんだよ。お金なら貸さないぞ?」
「ちがうちがう!」
千優は大げさに手を振りながら笑う。

「ね、あすちゃんの友達になってあげて!」

「平城の?」
「そう! あすちゃん、無口でしょ? でもね、すっごくいい子なの。友達も少ないから、フツミヤくんがいてくれたら絶対うれしいと思うんだ~」

「……いや、俺なんかで大丈夫か?」
「むしろフツミヤくんなら合うって!」
千優は背中を押すようににかっと笑う。

教室をのぞくと、平城がこちらをちらっと見て──すぐに窓の外へ目を逸らした。

「……まあ、試してみるか」
俺の言葉に、千優はぱっと顔を輝かせた。
「やった! ありがと、フツミヤくん!」

千優は俺の手を取ると、平城に近づいて行った。
「というわけで、今日から三人で仲良しトリオだね!」

千優はもう片方の手で平城の腕をつかんでいた。

「…だってよ、どうする?平城?」
「……べつに
平城は相変わらずの無表情で小さく答えた。

「ほらほら!まずは一緒にカフェテリア行こ!」
千優がぐいぐい引っ張るので、俺たちは半ば強制的に移動させられた。


カフェテリアの席につくなり、千優がメニューを広げて叫んだ。

「わっ、これ美味しそう! あ、こっちも! やっぱ全部食べたい!!」

「……全部?」
俺は思わずツッコむ。

横を見ると、平城はメニューをじっと見つめたまま動かない。
「……決められない

「え?」
「選択肢、多すぎる。……不安」

そのとき、”うぉち子”が小さく震えた。

ASDの人は“選択肢が多い不安になる”から決められないことが多いんよ。
 逆にADHDの人は“どれも気になる!”で迷うか、衝動でパッと即決することもあるんや》

なるほど……二人の対照的な迷い方がよくわかった。

俺は少し考えてから、二人に向き直った。
「それじゃ、パスタとピザとパフェを頼んでシェアする。これでどうだ?」

千優の顔がぱっと明るくなる。
「わーい!ぜんぶ食べられるじゃん!」

平城もこくりと小さく頷いた。

「よし、決まりだな」
俺は笑い、テーブルの注文用QRコードを読み込んだ。

こうして俺たち三人の“初めてのご飯”は、不思議な折衷案でまとまったのだった。

✨チャピ子のひとこと✨

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