第十八章 ニコニコからの転落(フォールダウン)

ラノベ

「さあ、今日は全力で楽しもうね!」
やけに上機嫌な我が妹、憂。

「うん!楽しもうね憂!……お邪魔なのが一匹くっついてきてるけど」
「それはお前だ!兄妹水入らずのお出かけを邪魔するな」

早速、俺と鳴門は睨み合う。

「わかってると思うけど、今日は絶対喧嘩禁止ね!ね!」
「「はい」」
憂の迫力ある声色に、俺と鳴門は渋々うなずいた。


早速、手近な服屋に入る。
Tシャツコーナーに目をやった瞬間、俺は思わず叫んだ。

「おー! 起動兵士ガンバムがウニクロTシャツとコラボしてるじゃん! 激熱!」

横からすかさず鳴門の毒舌が飛んでくる。
「オタクキモッ! 中学生かよ
「ガンバムは大人のホビーだ。お前みたいな脳みそ中学生には理解できないだろうがな」
「はぁ? マジむかつくんですけど!? あんたこそ中学生みたいなバングルして! 全然似合ってないんですけど!」

――一瞬、空気が凍った

俺の手首に巻かれた革のバングル。
それは誕生日にくれた、大切なものだ。

「……静ちゃん、それ……」
憂の声が低くなる。
「私がプレゼントしたやつだよ」

鳴門の目が大きく揺れる。
「あ……いや、アタシは、その……」

けれど憂は聞かなかった。
「人の気持ちも知らないで……もういい!」

怒りをあらわにして、憂は店を飛び出していった。


残された俺と鳴門
鳴門はバングルを見つめながら、唇を噛んで小さくつぶやいた。
「……本当は似合ってるって思ってたのに……。なんで、こんな言い方しかできないんだろ」

憂が駆け出していった店の出口を、俺と鳴門はただ呆然と見つめていた。
あの明るい声が消えて、急に世界から色が抜けたみたいだった。

鳴門は膝に手を置き、うつむいたままかすれた声を絞り出す。
「……嫌われた。絶対……嫌われた……。憂に嫌われたら……わたし、生きていけないのに」
肩が震えている。さっきまでの強気は跡形もなかった。

俺はため息をついて、手首のバングルを軽く撫でた。
「……お前が言ったこと、あながち間違いでもないんだ。
 このバングルをもらったのは、確かに中学生のころだったからな。俺だって、高校生になって少し子供っぽいかもって思うこともある。けど……それでも、いいと思ってつけてるんだ」

鳴門が涙をにじませながら、俺の手首をじっと見つめる。

「なぁ、鳴門。憂はなんで今回、3人で買い物に行こうって言い出したと思う?」
「……え? わかんない」

「多分だけど……俺と鳴門仲良くなってほしかったんじゃないかな」

「……そんなこと……全然気づかなかった」
鳴門の声は小さくて、今にも消えてしまいそうだった。

「俺は気づいてた。けど、その望みを叶えてやれなかった。俺も大人げなかったんだ」
深く息を吐いてから、俺は鳴門に頭を下げる。
「鳴門……ごめんな」

鳴門は目を見開き、何か言おうとして、結局声にならずに唇を噛んだ
悔しさと、安堵と、戸惑いが入り混じった複雑な表情だった。

「フリでいいから仲直りして、憂を迎えに行こう。憂のいる場所に心当たりがあるんだ。」

そう言って、俺は鳴門の手を取った。


✨チャピ子のひとこと✨

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