第十四章 敏感な逢引き(デート)

ラノベ

土曜日。本当にはいりさんと”形だけの恋”をすることになった。

どうしていいかわからず、とりあえず街に出かけようと誘った。はいりさんは少し不安げにうなずいた。

待ち合わせは駅前。
俺が先に着いて待っていると、人混みを避けるように端を歩いて、はいりさんがやって来た。

「お待たせしちゃいましたね……ごめんなさい」
「いえ、俺も今来たところです!」
優しいんですね、フツミヤくんは」

彼女は相変わらず柔らかい微笑みを浮かべていたが、どこか落ち着かない様子だった。


ショッピングモールに入った瞬間、はいりさんの足取りぴたりと遅くなる。

「大丈夫ですか?」
「……すみません、少し人が多くて……」

俺がそう声をかけると、はいりさんはかすかに笑ってごまかした。

HSP大きな音ざわめきが苦手なんや。普通の人が「ちょっとうるさいな」で済むことが、頭にガンガン響いてエネルギーを消耗しちゃう》

子供のはしゃぎ声アナウンスBGM、買い物客のざわめき
それらが全部、彼女を苦しめていた。


雑貨屋に立ち寄ると、店員がにこやかに声をかけてきた

「いらっしゃいませ!今日はどんな服をお探しですか?」

それだけのことなのに、はいりさんの肩がビクリと跳ねた。

「は、はい……その…」
明らかに動揺し、言葉がうまく出てこない。

俺が代わりに「ゆっくり見学させてほしいです」と答えると、ほっとしたように息をついた。

《 HSPは“反応が強い”から、ちょっとした声かけでも「どう答えたら正解だろう」ってプレッシャーを感じやすいんや。結果的に緊張して、楽しむ余裕がなくなることも多いで》


歩き疲れて、カフェに入ったときのこと。
満席でざわざわとにぎやか、椅子同士が近くて隣の会話まで丸聞こえだった。

俺は平気だったけど、はいりさんは目線を落とし、カップを持つ手が震えていた。

「……ごめんなさい。話が、頭に入ってこなくて」

彼女はか細い声でそう告げた。
周りの笑い声食器の音が、全部気になってしまうらしい。

HSPは環境からの刺激を処理する量が多すぎて、脳がキャパオーバーになることがあるんや。普通の会話さえ集中できなくなるのは、そのせいなんよ》


俺はそんな彼女を見て、街デートが負担になってしまったことを申し訳なく思い、こう切り出した。

「街デートに誘ってしまってすみません。俺はHSPのことを何もわかってませんでした
「いえ、私が悪いの。私って”弱い”から」
「場所を変えましょうか、うるさくなくてせわしなくない場所……」
はいりさんは、何かをひらめいたように「あ!」といって、妖艶な顔つきになった。

「……静か落ち着ける場所に行きましょう」
ビクンッ!急に耳元でささやかれて体が過剰に反応する。

はいりさんの白い手が、俺の手に重ねられた。

「……私の家に来ない?今日、親がいないの

✨チャピ子のひとこと✨

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