第十三章 運命の日(ザ・フェイタル・デイ)

ラノベ

朝、教室に行くと二人がいた。
「あの、ご両人。放課後カフェテリアにきてもらえますか?
「何で敬語なの?ウケる!」
「…わかった」

その日の授業は全く耳に入らなかった

放課後のカフェテリア。
ぎゅっと拳を握りしめ、俺は二人を前に深く息を吸った

「……俺は、宇都宮通は…田所千優を選びます
その一言に、明日菜の肩が小さく揺れた

「だから……明日菜とは付き合えない。ごめん」
静かに、はっきりと告げる。

「でもな──」
俺は真っ直ぐ、明日菜を見つめる。
「こんなに魅力的な女の子から“好き”って言ってもらえて、俺……心の底から嬉しかった。勇気を出してくれて、ありがとう」

明日菜は唇をきゅっと噛み、俯きそうになったが、なんとか顔を上げた。
頬は熱を帯び、瞳はかすかに潤んでいる。

「……そんなふうに言われたら……どんな顔していいか…わからない」
声は震えていたけど、ちゃんと笑顔を作ろうとしていた。

千優がそれを横目で見て、微笑む。
「今のあすちゃん最高にかわいい!」
明日菜がすがすがしい笑顔で微笑んだ。

「──青春だねぇ。実にいい」

突然、後ろから聞き慣れた落ち着いた声がした。
振り返ると、カイリさん腕を組んで立っている
その隣には、申し訳なさそうにするはいりさん

「なっ……いつから見てたんですか!?」
俺が思わず声を荒げると、カイリさんは涼しい顔で答えた。

最初からに決まっているだろう。観察は科学の基本だ」

はいりさんが手をひらひら振りながら、にやにやと口を挟む。
「ごめんね、こんなところを邪魔しちゃって。でもフツミヤくんかっこよかったわ」

俺は頭を抱えたくなった。

カイリさんはさらに一歩前に出て、静かに問いかける。
「──二人と恋をしてみてどうだ?“誤診”だと感じたか?」

息を呑む俺。
けど、答えはもう決まっていた。

「いや……千優はまごうことなきADHD。明日菜も間違いなくASDだ」

二人ともぽかんと口を開け、同時に俺を見た。

「……どーいうこと?」
千優が首を傾げ、明日菜も小さく「……説明して」と呟く。

その空気を切り裂くように、カイリさんが眼鏡を押し上げる。
「実はだな──」

「待ってください!」
俺は思わず立ち上がった。

「……自分から話します

深呼吸して、二人をまっすぐに見つめる。

「俺が千優と明日菜と距離を縮めたのは……“誤診者”を探すための実験の一環だった。
きっかけこそ作為的だった。でも──」

千優の目が揺れる。
「……じゃあ、私を好きって気持ちも嘘なの?」

「そんなことはない!」
思わず拳を握りしめる。

「きっかけはどうあれ……千優を好きになったこの気持ちは、本物だ!」

その一言に、千優は数秒の沈黙のあと、ふっと息を吐いて笑った。
「……それなら許す!」

場の空気が少し緩んだところで、カイリさんがさらりと言葉を継ぐ。
「では次は──はいりと恋をしてみてくれ」

「はぁ!? そんなの千優が許すわけ──」

いいよ
千優の口から出たのは、まさかの即答だった。

「えっ……」俺は固まる。

千優は腕を組んで胸を張る。
「私が第一婦人なら許す!」

「な、なに言ってんだお前は……!」

仕方なく、俺は大きく息をついた。
「……”依頼”を引き受けた以上協力はします。でもこれは形だけだ。もう恋はしません

カイリさんは満足げに頷いた。
「それで結構」

そして隣のはいりさんへ視線を向ける。
「はいり。お前はどうだ?」

はいりさんは少し頬を赤らめて、それでも真剣な声で答えた。
「本来こんなことはおかしいって思う。でも……私も、自分が本当にHSPなのか確かめたいの。こんなこと、フツミヤくんしか頼めない。……私と”形だけの恋”をしてくれないかしら?」

その言葉と同時に、はいりのしなやかな体つきが俺の視界を圧迫する。
おしとやかな微笑み、艶やかな髪──そして巨乳

(……お、落ち着け俺。形だけだ、形だけ……!)

ぐらつく心を必死に抑えながら、俺は返事を飲み込んだ。

「面白そうなことになってきたね!だからあすちゃんも身を引くとかなし!みんなでフツミヤくんをシェアしていこう!」
「…まさか…こんなことになるなんて」

カイリが淡々と結論を下す。
「──いっそのこと、ニア研ハーレムを築けばいい」

「誰が築くかーーっ!」
俺の叫びがカフェテリアに響き渡った。


✨チャピ子のひとこと✨

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